A10 CGN 設計

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このページでは主に以下の設計について扱います。

  • ISP 向け A10 Thunder CGN 物理アプライアンスの設計
  • NAT44 の設計

統合管理

aVCS (Virtual Chassis Cluster)

A10 aVCS

複数の物理筐体のコンフィグを統合し、1 つの running-config で設定することができます。

設定自体は筐体個別に動作しているため、aVCS アクティブ機で各筐体の設定を吸い上げて管理しています。

例えばルーティング テーブルは物理筐体別に持っており、筺体 (device-context) ごとにルーティング テーブルを設定します。

  • Cisco Catalyst のように物理筺体 2 台で 1 つのルーティングテーブルを構成する、といった動作は行いません。

Harmony Controller

A10 ADC , SSLi , CFW , CGN を統合管理するソフトウェアです。

aVCS は同一拠点内の機器を統合管理しますが、Harmony Contoroller は複数拠点を管理するのが一般的と考えられます。

ここでは扱いません。

冗長化

複数の冗長化方式/プロトコルで物理筺体の冗長化を行えます。

ACOS 2.x で使用できた、HA は ACOS 4.x などで使用できなくなっているため、ここでは扱いません。

VRRP-a

FHRP の VRRP を A10 が拡張して作成した、独自プロトコル [1] です。

動作はかなり異なるため別物として認識して、メーカーのコンフィギュレーション ガイドをよく読んで設定する必要があります。

大まかには以下の動作を行います。

  • VIP を持つ Vlan では Hello を送信せず、Master / Slave を選出しない
  • セッション同期 Vlan 経由で、NAT などのセッション情報を筺体間で同期して、Active / Standby を選出する
  • 8 台まで冗長化が可能で、Active / Standby を複数持たせて入れ子とすることで、マルチ Active の N+1 構成を取ることが可能
    • 例) VRID1 : #1 Active / #2 Standby + VRID2 : #1 Standby / #2 Active

将来的に N+1 構成を取る場合、コンフィギュレーションはあらかじめ最大構成を考慮して設計すると、増設時に再設計せずにすみます。

Scaleout

VRRP-a は台数が増えるにしたがって、コンフィギュレーションが複雑化します。

今後は Scaleout という機能で、台数が多い割には設定が簡素化できるようになるようです。

ISP の CGN ではまだ事例が少ないようです。

LAG

A10 は Sun Microsystems / Brocade と同様に、LAG は trunk と呼称するため注意が必要です。

Cisco で言う dot1q tag はコンフィグ上で tagging と表記されます。

LACP

2025 年現在、A10 はマルチシャーシ LAG は対応しません。

サイジング

WAN 回線や AS に割り当てられる グローバル IP アドレスから、CGN に使用できるグローバル IP アドレス プールを決めます。

NAT 対象としたいユーザ数を確認し、1 ユーザに割り当てるポート数を制限することで、サイジングを行います。

  • ポート数が多い = ユーザは多数のアプリケーションを使用できるが、グローバル IP の消費が多い
  • ポート数が少ない = ユーザは同時に少数のアプリケーションしか使用できないが、グローバル IP の消費を節約できる

サイジング例

1 グローバル IP アドレスあたりのポート数は、一般的に以下を使用します。

  • 65535 ポート - ウェルノウンポート 1-1023 番 = 1024-65535 = 約 64000 ポート

1 ユーザに 1000 ポートのクォータを割り当てた場合、

  • 64000 ポート / 1000 ポート(1ユーザ) = 64 ユーザ

1 つのグローバル アドレスで 64 ユーザを収容することが可能です。


なお、A10 では TCP / UDP / ICMP ごとにポートが別々に存在します。

サイジングは後述の総務省の手順書 Vol.1 が詳しいため、要参照。

NAT プールカウント

デフォルトではプールアドレスの数が少ないため、通常はもっと大きい値に変更します。

For example to adjust the resource allocations, use the following CLI:
ACOS(config)# cgnv6 resource-usage lsn-nat-addr-count 513
ACOS(config)#system resource-usage l4-session-count 4194302

ユーザ クオータ

A10 では送信元ポートの数によりユーザ クオータ数が消費されます。

ISP では 1% のユーザが非常に多くのポートや 50% の帯域幅を消費しようとする傾向 [2] があるため、

ポート数

  • quota : 1 ユーザが使用できる最大ポート数を設定可能
    • リザーブオプションがない場合、このポート数が必ず消費される (=reserve と同一の効果) [3]
  • reserve : リザーブで必ず確保されるポート数を定義可能
    • リザーブオプションがある場合、必ず消費されるポートがリザーブの値に減少する [4]
For example:
ACOS(config)#cgnv6 lsn-lid 1
ACOS(config-lsn-lid)#user-quota tcp 1000 reserve 100

セッション数

A10 のセッション数は宛先ポート番号が異なる場合に、別のセッションが生成されます。

送信元ポートが 1 つ (=クォータ 1 つ) で多数の宛先ポートを使用するアプリケーションがある場合、クオータの消費は少ないが、セッション数が多いユーザとなる場合があります。

  • 例) P2P アプリケーション

筐体のセッション数の不足が懸念される場合は、ユーザごとのセッション数を制限し、過剰にセッション数を消費させないようにします。

Use the following CLI to set a total session limit:
ACOS(config)#cgnv6 lsn-lid 1
ACOS(config-lsn-lid)#user-quota session 5000

IP アドレッシング

ルーティング・L3SW 設計

PBR + スタティック ルーティング

VRF

落とし穴

ユーザログイン情報が show run に保存されない

リファレンス

A10

運用の簡素化と 柔軟なパフォーマンス確保を同時に実現する AXのaVCS™機能

LARGE SCALE NETWORK ADDRESS TRANSLATION HOW TO CONFIGURE LARGE SCALE NAT (LSN) ON A10 THUNDER/VTHUNDER CGN DEVICES

A10 ネットワークス 総合カタログ

A10ネットワークス Thunderシリーズ ハンズオントレーニング

テクログ|A10ネットワークスのスケールアウト技術

総務省

IPv4 アドレスの枯渇時に生じる諸課題に 適切に対処するための手順書 (Vol.1)

IPv4 アドレスの枯渇時に生じる諸課題に 適切に対処するための手順書 (Vol.2)

RFC

RFC1918 プライベート網のアドレス割当

RFC6598 - IANA-Reserved IPv4 Prefix for Shared Address Space 日本語訳

引用

  1. HOW TO CONFIGURE LARGE SCALE NAT (LSN) ON A10 THUNDER/VTHUNDER CGN DEVICES VRRP-A CONFIGURATION Virtual Router Redundancy Protocol-A10 (VRRP-A) is an A10 Networks proprietary technology that enhances a High Availability (HA) implementation and is used to implement multiple system redundancy.
  2. 帯域制御の運用基準に関するガイドライン (改定) 平成 19 年頃には、全体の約1%のユーザが P2P ファイル交換ソフト3の利用に よりバックボーン帯域の約 50%を消費しているという調査結果(資料3)が出 される
  3. HOW TO CONFIGURE LARGE SCALE NAT (LSN) ON A10 THUNDER/VTHUNDER CGN DEVICES USER QUOTAS When an Internal user initiates a session, the entire quota value is allocated to that user.
  4. HOW TO CONFIGURE LARGE SCALE NAT (LSN) ON A10 THUNDER/VTHUNDER CGN DEVICES USER QUOTAS To alleviate this issue, the operator may choose to reserve a subset of the total quota to a protocol, guaranteeing that subset and freeing the remainder of the ports to be used by another client.